





― 他にも思い出深い試合はありますか?
うれしい思い出ではなく悔しい思い出ですが、中国・北京での対シャラポワ戦ですね。 彼女の調子はとても悪く、私はそれまでずっと調子がよかったのでチャンスだったのですが、 やはり意識した部分があったんですかね。私もイマイチ調子がでず、徐々に挽回したのに本当にあと一歩、 というところで落として結局負け。すごく残念でガックリしてたんですが、次の日なんと、シャラポワが途中棄権。 それはショックでしたよ。「最後までやれよ」って思いますよね(笑)。
昨シーズンは、そういうチャンスを ことごとく落とし過ぎたので、来シーズンはそれをなんとか自分の方に引き寄せたいなと思いますよね。それに、 シャラポワもルックスだけじゃなく実力もあるし、何よりも精神面が強いので、その辺見習って、 又チャレンジしていきたいなと思います。
― シャラポワと対戦する機会が多いですね
そう、当たるんです!これがしょっちゅう当たる。実は、シャラポワがウインブルドンで 優勝する前の年に私が勝ったことがあるんですよ。だから私に対してはいつもすごい気合 入ってるんですよ。あまり隙を見せないというか…。トップの選手って下位の選手と 当たる一回戦は、油断しているというか、割と適当な感じでプレーする選手もいるんですね。 そういう時に当たると、初戦は勝てたりするんですよ。
― でも2回勝つのは難しい
以前、「1回はまぐれでもあるんだよ、でも2回勝つのは大変で、1度勝てたから次も勝てるとは 限らないから、勝った時以上に相手を研究して試合に臨め」と言われたことがあります。 確かにそうなんですよね。初戦はお互いの癖も分からないから、対戦成績はよかったりする。 でもやはり2回勝つのは難しい。さらにいえば、大会2連覇というのはすごく大変なことだと思うんですよ、 最初は「ああ取れちゃった」みたいなタイトルでも、2回目は取りに行かないといけなくて、 そこで勝てるのは実力がある証拠なんです。
― しかも、1年中転戦しながら。考えてみると、そういうスポーツって割と少ないですよね。
例えばゴルフも国内で毎週試合がありますけど、やはりテニスみたいにフライト時間は長くないし。
― オフシーズンというものもないですしね
正直、厳しいです。よく、「いろんな国に行けていいね」と羨ましがられますが、 実際は空港と開催地を直行直帰だし、開催地でもホテルとコートを往復するだけ。 だから、イギリスに行ったとしても、イギリスのどの辺なのか、 何が有名なのかも分からない。海外に言ったという気にはならないですね。 まあ、あまり海外が好きではないのでいいんですけど。
― まさに仕事。しかも、ビジネスマンの出張の方がまだ観光する余裕はありそうですね。
そうですね。日本での試合が増えればいいのですが…。でも、楽しいことをやっているから続けられるんですけどね。 テニスやっているときは本当に楽しいんですよね。
― ところで、勝ち負けではない、浅越さんにとっての「いい試合」というのはどんな試合ですか?
先ほど言ったデメンティエワとの試合は内容もすごく良かったです。ベースラインから下がらずに早いテンポで すごく攻撃的にいけました。私のテニスは引いてしまうと終わり。どんどん積極的にいって、チャンスがきたら前に いくというスタイルでやっていかないと、自分のいいところが出ないで終わってしまいます。 そういう意味でも、あの試合は1番良かったですね。東レの早いコートも私のタイミングに合っていました。
― 中には、勝っても納得行かない試合もあるのでしょうか?
もちろんあります!ありまくりです! 私がこんなダメなテニスしたのに、なんで勝てるの?って試合。 試合後コーチに「あの人もうちょっとやりようがあったよね。私だったらあの時こうしてすぐに勝てるのに」って、 自分に対して皮肉っぽく言ったりして(笑)。でも、調子が悪くても勝てることがあるのが、 テニスの面白いところでもあります。実際、実力のある人は調子が悪くてもなんとかして勝ってきたりするんですよね。 たとえクリーンエースがなくても、どんなにテニスがぐちゃぐちゃでも勝つ。それが後ですごく大きなポイントになる。 やはり、トップの人は簡単には試合を落とさないですね。
― その辺が、トップの選手とそうでない人との差なのでしょうか?
そうですね。たとえ技術の良くない日があっても、気持ちで持っていけるというか。
気持ちといえば、ウインブルドンでは気持ちでやられました。